この記事では、平成29年度の税率における、『個人事業主』と『法人及び社長』にかかる税金+保険料の仕組みの違いや、計算方法、また各種控除の内容と控除額について解説します。

 

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個人事業主と法人の税金の仕組みの違いと計算方法

「個人事業主」と「法人及びその社長」に対する課税の違い

法人税や所得税という言葉を聞いたことがあると思いますが、個人事業主と法人では賦課される税金の仕組みが異なります。

まず個人事業主の場合は、個人事業主が行う事業の収益は全て個人の収入となり、所得税等がかかります。一個人である個人事業主が事業の主体となりますので会社という言葉が当てはまらず、当然法人税というものも存在しません。

一方、法人の場合は、法人の収益と社長である事業主の収入が分離されており、法人の収益には法人税等がかかり、社長の収入には所得税等がかかります。社長は法人を経営して報酬を貰っているだけで、事業の主体はあくまでも法人です。

このような仕組みの違いによって「法人及びその社長」と「個人事業主」に次のような税金や保険の種類の違いが生じます。

税金の種類

法人及びその社長

法人 社長
法人税 所得税
地方法人税 復興特別税
法人住民税 住民税
法人事業税 健康保険
地方法人特別税 厚生年金保険

個人事業主

個人事業主
所得税
復興特別税
住民税
個人事業税
国民健康保険
国民年金保険

各種税金や社会保険の計算方法

法人の利益に賦課される税金

法人の利益に賦課される税金は、法人税・法人事業税・地方法人税・法人住民税等がありますが、「法人実効税」というものを計算することで最も正確に計算することができます。法人実効税とは、法人関連の税金を単純に足し合わせたものではなくて、法人事業税等の損金として扱える税金を計算に考慮したものです。

法人実効税
={法人事業収益-経費}×法人実効税率
={法人事業収益-経費}
×{法人税率×(100%+地方法人税率+地方住民税率)+法人事業税率+(法人事業税率×地方法人特別税率)}
/{100%+法人事業税率+(法人事業税率×地方法人特別税率)}

(なお、経費には役員報酬等も含みます。)

税率は下記のとおりです。

※平成29年度の資本金1億円以下(中小法人)の場合の税率です。

法人事業収益-経費 法人税率 法人事業税率
400万円以下の部分 19.0% 5.0%
400万円を超え、
800万円以下の部分
19.0% 7.3%
800万円を超える部分 23.4% 9.6%
法人住民税 7.0%
地方法人税 10.3%
地方法人特別税 廃止し、法人事業税に組込み

法人実効税の計算式があれば下に示す他の法人税関連の計算式は必要ありませんが、理解を深める為に計算式だけは載せておきます。税率は上記を参考にしてください。

  • 法人税={法人事業収益-経費}×法人税率
  • 法人住民税=法人税×法人住民税率
  • 地方法人税=法人税×地方法人税率
  • 法人事業税={法人事業収益-経費}×法人事業税率
  • 地方法人特別税=法人事業税×地方法人特別税率 (廃止し、法人事業税へ組込み)

社長(役員)の収入に賦課される税金・社会保険料

社長(役員)はサラリーマンと同じく法人から役員報酬という名の給料をもらう形となります。従って払い受けた役員報酬に対して所得税・住民税に加えて健康保険・厚生年金保険が賦課されることになります。

計算式は下記のとおりです。

  • 所得税={役員報酬-所得控除}×所得税率-税額控除額
  • 復興特別税=所得税×復興特別税率
  • 住民税={役員報酬-所得控除}×住民税率+住民税均等割額-調整控除額
  • 健康保険料=平均標準報酬額×健康保険料負担率×12ヵ月分
  • 厚生年金保険料=平均標準報酬額×健康保険料負担率×12ヵ月分

※厚生年金保険料は正確には等級計算となります。また会社と折半となるので、上記の半分が役員の負担分、残りの半分が法人の経費となります。

※平均標準報酬額とは4月~6月の月額報酬の平均月額であり、交通費・残業代・役員賞与の月分割分も含みます。役員賞与以外の臨時収入は含みません。

そして各種税率は下記のとおりです。

所得税
役員報酬-所得控除 所得税率 税額控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円 10% 97,500円
330万円超~695万円 20% 427,500円
695万円超~900万円 23% 636,000円
900万円超~1800万円 33% 1,536,000円
1800万円超~4000万円 40% 2,796,000円
4000万円超 45% 4,796,000円
復興特別税率 2.1%
住民税率 10%
住民税均等割額 約5,000円
調整控除額 【{役員報酬-所得控除}≦200万円】
→「人的控除の所得税と住民税の差」と「役員報酬-所得控除」の小さい方×5%
【{役員報酬-所得控除}>200万円】
→「人的控除の所得税と住民税の差」-{役員報酬-所得控除-200万円}×5%

※人的控除とは、基礎控除・配偶者控除・扶養控除・
障碍者控除・寡夫控除・寡婦控除・勤労学生控除のことです。
控除額は所得控除一覧表を参照してください。

健康保険負担率
(40歳~64歳)
11.56%
健康保険負担率
(上記以外)
9.97%
厚生年金保険負担率 18.3%

また、所得控除の項目と金額は下記のとおりです。

項目 控除額 説明
  所得税 住民税  
給与所得控除 給与所得控除表を参照 給与を受ける者に対する控除。
個人事業主にはない。
青色申告控除 65万円 青色申告事業者に対する控除。
個人事業主のみ。
白色申告控除 10万円 白色申告事業者に対する控除。
個人事業主のみ。
社会保険料控除 その年に支払った社会保険料の全額 健康保険・年金保険は全額課税されないので、
その分の控除。
医療費控除 【役員所得200万円超の場合】
→医療費−保険金等-10万円
【役員所得200万円以下の場合】
→医療費-保険金等-(役員所得×5%)
一定額以上の医療費を支出した場合の控除。
雑損控除 損害金額+損害に関連した二次支出金額-保険金等の補填金額 災害や盗難などの損害を
受けた分に対する控除。
小規模企業共済等掛金控除 その年に支払った掛金の全額 公的機関へ退職金の積み立てとして
支払った掛金に対する控除。
基礎控除 38万円 33万円 全員が受けることができる
基礎的な控除。
配偶者控除 38万円 33万円 103万円以下の収入の配偶者を
持つ者に対する控除。
配偶者控除
(70歳以上)
48万円 38万円 70歳以上かつ収入103万円以下の
配偶者を持つ者に対する控除。
配偶者特別控除 0円~38万円 0円~33万円 配偶者の収入が103万円を超えても
141万円までは収入に反比例した
控除を受けることができる。
扶養控除
(16歳~18歳)
38万円 33万円 その年12月31日現在の年齢が16歳~18歳の
扶養親族を持つ者に対する控除
扶養控除
(19歳~22歳)
63万円 45万円 その年12月31日現在の年齢が19歳~22歳の
扶養親族を持つ者に対する控除
扶養控除
(70歳以上同居親)
58万円 45万円 その年12月31日現在の年齢が70歳以上の
同居扶養親族を持つ者に対する控除
扶養控除
(70歳以上同居親以外)
48万円 38万円 その年12月31日現在の年齢が70歳以上の
非同居扶養親族を持つ者に対する控除
寡婦控除 27万円 26万円 夫と死別・離婚した後に
再婚していない方に対する控除
寡婦控除
(特定)
35万円 30万円 夫と死別・離婚した後に再婚しておらず、
子どもを扶養する方に対する控除
寡夫控除 27万円 26万円 妻と死別・離婚した後に
再婚していない方に対する控除
障害者控除 27万円 26万円 ご自身・配偶者・扶養親族が
障害者の場合に受ける控除
障害者控除
(特別障害)
40万円 30万円 ご自身・配偶者・扶養親族が
重度の障害者の場合に受ける控除
障害者控除
(同居特別障害)
75万円 53万円 配偶者・扶養親族が重度の障害者で
同居している場合に受ける控除
勤労学生控除 27万円 26万円 ご自身が学生の場合に受ける控除
生命保険料控除 最大12万円 最大7万円 ご自身が加入する個人的な生命保険・
介護保険・年金保険の支払額に対する控除
地震保険料控除 最大5万円 最大2万5000円 ご自身が加入する個人的な地震保険・
長期損害保険の支払額に対する控除
寄付金控除 特定寄附金の額と総所得×40%の小さい方-2000円 特定寄附金の額と総所得×30%の小さい方-2000円 特定の寄付をした場合に受ける控除
給与所得控除=役員報酬×控除率+控除額
役員報酬 控除率 控除額
162万5000円以下 0% 650,000円
162万5000円超~180万円 40% 0円
180万円超~360万円 30% 180,000円
360万円超~660万円 20% 540,000円
660万円超~1000万円 10% 1,200,000円
1000万円超 0% 2,200,000円

個人事業主の収入に賦課される税金・社会保険料

個人事業の利益は全て個人事業主の収入とみなされます。従って、個人事業の利益全額に関して、個人事業主に対して所得税・住民税に加えて国民健康保険・国民年金保険が賦課されることになります。

計算式は下記のとおりです。ほとんどが役員報酬に関連する税金・保険料と同じですが、個人事業税の追加と保険料の計算式が異なります。

  • 所得税={事業収益-経費-所得控除}×所得税率-税額控除額
  • 復興特別税=所得税×復興特別税率
  • 住民税={事業収益-経費-所得控除}×住民税率+住民税均等割額-調整控除額
  • 個人事業税={事業収益-経費-事業主控除}×個人事業税率
  • 国民健康保険料=
    加入者全員の基準額×(基礎分利率+支援分利率)
    +40~64歳分の基準額×介護分利率
    +加入者全員の人数×(基礎分均等割額+支援分均等割額)
    +40~64歳の加入者人数×介護分均等割額
  • 国民年金保険料=16,490円

※国民健康保険の基準額とは、家族などの加入者全員の所得から控除分をマイナスしたものです。個人事業主の場合は{事業収益-経費-基礎控除-青色申告控除}となり、フリーターやサラリーマンの場合は{給料年額-基礎控除-給与所得控除}となります。

そして各種税率は下記のとおりです。

所得税
事業収益-経費-所得控除 所得税率 税額控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円 10% 97,500円
330万円超~695万円 20% 427,500円
695万円超~900万円 23% 636,000円
900万円超~1800万円 33% 1,536,000円
1800万円超~4000万円 40% 2,796,000円
4000万円超 45% 4,796,000円
復興特別税率 2.1%
住民税率 10%
住民税均等割額 約5,000円
調整控除額 【{事業収益-経費-所得控除}≦200万円】
→「人的控除の所得税と住民税の差」と「事業収益-経費-所得控除」の小さい方×5%
【{事業収益-経費-所得控除}>200万円】
→「人的控除の所得税と住民税の差」-{事業収益-経費-所得控除-200万円}×5%

※人的控除とは、基礎控除・配偶者控除・扶養控除・
障碍者控除・寡夫控除・寡婦控除・勤労学生控除のことです。
控除額は所得控除一覧表を参照してください。

事業主控除 290万円
個人事業税率 医業関連:3%
畜水産関連:4%
それ以外:5%
国民健康保険利率 基礎分:6.86%
支援分:2.02%
介護分:1.52%
国民健康保険均等割額 基礎分:35,400円
支援分:10,800円
介護分:14,700円

また所得控除ですが、法人役員の所得控除項目であった給与所得控除は、個人事業主には適用されません。その代わりに青色申告控除又は白色申告控除があります。所得控除一覧表を参照してください。

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