株式会社設立の流れ
自分で株式会社をつくるとなれば、様々な手続きが必要となります。この記事では、株式会社設立の流れを全て記載し、ここを読み進めるだけで株式会社設立が完了できる、そのような記事となっております。この記事を読み終えた頃には「株式会社の設立」が完了できることを期待しております。
合同会社の設立の流れが知りたい方は、合同会社設立と電子定款の流れをお読みください。
また会社設立に必要な費用の比較について詳しく知りたい方は、会社設立費用の比較をお読みください。自分で全ての手続きをした場合や、専門家へ依頼した場合の比較を詳しく解説しております。会社設立手続きを最も安くしたい方は、「電子定款のみ専門家へ依頼し、残りは全て自分で手続きをする」という方法がお勧めです。従ってこの記事では、「電子定款のみ当事務所へ依頼し、他は全て自分で手続きをする」という流れを解説します。
株式会社設立の全体の流れ
株式会社設立の全体の流れは下記のとおりです。この記事で株式会社設立が完結するように記載しますのでかなり細かく記載します。
- 会社形態を決める
- 印鑑登録証明書を取得する
- 定款の内容を作成する
- 電子定款作成代理の委任状を作成する
- 公証役場で定款内容を事前チェックしてもらう
- 会社印鑑を発注する
- 公証役場から5の事前チェックが完了した旨の連絡を受け取る
- 当事務所へ電子定款を依頼する(メール)
- 当事務所へ電子定款依頼料4,000円を振り込む
- 定款内容を電子定款化し、公証役場へ本認証をかける(当事務所のタスク)
- 当事務所からお客さまへ認証済み定款の受け取りに必要な復代理委任状を送付する(当事務所のタスク)
- 認証済み定款の受け取り準備完了の旨をお客さまへ連絡する(当事務所のタスク)
- 認証済み定款の受け取りの為に必要な物を用意する。
- 認証済み定款の受け取りの為に公証役場への訪問予約をする。
- 公証役場で認証済み定款を受け取る
- 資本金の払込みをする
- 会社設立登記の必要書類を準備する
- 法務局で株式会社設立登記を申請する。
上記のうち、10~12は、電子定款を依頼した当事務所のタスクとなっております。
株式会社設立手続が完了するまでに必要日数としては、最短日数で20日程度必要です。
それでは上記の順序で詳しく解説をしていきます。
1.会社形態を決める
会社を設立するためにはまず会社形態を決めなければなりません。会社形態とは、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」のことです。「有限会社」は法律改正により、新たな設立はできません。最も一般的な形態は「株式会社」なので、『とりあえず株式会社で』という方も多くいますが、近年は「合同会社」を選ぶ方も多くいらっしゃいます。
まずはそれぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
株式会社 | 合同会社 | 合名会社 | 合資会社 | |
---|---|---|---|---|
漢字略称 | (株) | (同) | (名) | (資) |
出資者数 | 1人以上 | 1人以上 | 1人以上 | 2人以上 |
出資者責任 | 間接有限責任 | 間接有限責任 | 無限責任 | 無限責任 直接有限責任 |
出資の方法 | 金銭・現物財産 | 金銭・現物財産 | 金銭・現物財産 信用・労務 |
金銭・現物財産 信用・労務 |
決算公告 | 必要 | 不要 | 不要 | 不要 |
機関設計 | 株主総会 取締役1名 |
制約なし | 制約なし | 制約なし |
役員の任期 | 最長10年 | なし | なし | なし |
社会的信用 | 高い | 低い | 低い | 低い |
株式公開 | 可能 | 不可能 | 不可能 | 不可能 |
上記にいろいろと書かれておりますが、シンプルに考えて下記のような基準で選べばよいと思います。
- 社会的なイメージを優先するなら「株式会社」を選ぶ。
- 設立の手軽さ・安さ、設立後の運営の手軽さを優先するなら「合同会社」を選ぶ。
- 出資額以上に責任を負わない間接有限責任ではない「合名会社」「合資会社」は選ばない。
『株式会社ロイヤル』と『合同会社ロイヤル』という名前の会社があれば、どうしても全社の方がイメージがよいでしょう。やはり株式会社で設立する方がもっとも多いです。
一方、「株式会社」にはなくて「合同会社」にある手軽さについて詳しく解説すると、下記のとおりです。合同会社を設立した後に組織変更で株式会社に変更することも可能です。
- 会社設立費用が合同会社の方が約14万円程安い
- 定款の認証が不要なので、設立手続きが簡単
- 設立後に毎年行う決算公告が不要
より詳しい合同会社のメリットが知りたい方は、株式会社と合同会社のメリット比較をお読みください。
合同会社の設立の流れが知りたい方は、合同会社設立と電子定款の流れをお読みください。
株式会社を選ぶ方はこのまま読み進めてください。
2.印鑑登録証明書を取得する
「5.公証役場で定款内容を事前チェックしてもらう」と「18.法務局で株式会社設立登記を申請する」の際に必要となるものですが、この段階で取得しておきましょう。
枚数については下記のとおりです。
1人で設立するような小さな株式会社を設立する場合は、1人で発起人でもあり取締役にもなることが多いと思います。この場合は株式会社であれば、定款認証時に1枚・登記申請時に1枚で合計2枚必要です。他に発起人がいる場合や、取締役が複数いる場合は、下の表を見て必要枚数をご準備ください。
(言葉の説明)
発起人とは:出資者の事。会社設立に対してお金を払う人。
取締役とは:多くの場合は、その設立した会社の社長となる人。
取締役会とは:3名以上の取締役で設置される会社機関のことで、取締役の中から1名の代表取締役を選出します。また取締役会は公開会社以外は任意機関となっております。
公開会社とは:「発行株式のうち1株でも譲渡制限を付していない株式を発行する会社」のことです。
定款認証時 | 登記申請時 | 合計 | |
---|---|---|---|
発起人かつ取締役 | 1通 | 1通 | 2通 |
発起人のみ | 1通 | - | 1通 |
取締役のみ | - | 1通 | 1通 |
定款認証時 | 登記申請時 | 合計 | |
---|---|---|---|
発起人かつ代表取締役 | 1通 | 1通 | 2通 |
発起人かつ取締役 | 1通 | - | 1通 |
発起人のみ | 1通 | - | 1通 |
代表取締役のみ | - | 1通 | 1通 |
取締役のみ | - | - | 0通 |
3.定款の内容を作成する
定款とは会社のルールを書面に纏めたようなものであり、必ず定款は作成しなければなりません。定款は非常に大事なものですが、綿密に練って作成するとなれば結構大変ですが、会社設立後に内容を変更するとなると改めて数万円の費用が必要となります。
まずは下記のリンクから、定款サンプルをダウンロードしてください。他のサイトでも様々なサンプルが公開されており、シンプルなものからボリュームの多いものまでありますが、下記のサンプルは比較的よく書かれるものは全て盛り込んだものとなっております。
定款サンプルには赤枠で「記入例」や「書き方」、「決定の考え方」等を解説しています。この説明書きに従って記載していけば定款が完成できます。最後に赤枠を削除してご利用ください。
赤枠内の説明書きは具体的には下記の内容を記載しています。
- 商号決定の注意点
- 事業目的の決定に関する注意点や参考となる過去の検索システム
- 本店所在地の決定方法と記入例
- 公告方法の決定方法と記入例
- 発行可能株式総数の決定の根拠
- 役員の設定の考え方
- 事業年度の決定の考え方
- その他
定款が完了しましたら次へ進んでください。
4.電子定款作成代理の委任状を作成する
「電子定款作成代理の委任状」は、定款認証から登記申請までの会社設立手続きを1人ですべてする場合は不要なものです。しかし、会社設立費用の比較でも解説している通り、会社設立手続きは定款のみ専門家へ依頼して登記は自分でするという方法が最も安く済みます。従って、「電子定款作成代理の委任状」を作成して、専門家へ電子定款を依頼することをお勧めしています。
「電子定款作成代理の委任状」とは、「発起人」から「電子定款作成者」へ「電子定款作成」を委任するための委任状です。後述する「11.復代理委任状」とは異なるものなのでご注意ください。「復代理委任状」とは、「電子定款作成者」から「認証済み定款の受取り者」へ「認証済み定款の受取り」を委任するための委任状です。
下記をダウンロードして、記入例に従って記載・押印をしてください。
これで電子定款作成代理の委任状は完了です。次に「公証役場で定款内容の事前チェック」のステップに進んでください。
5.公証役場で定款内容を事前チェックしてもらう
これまでに作成・取得した、定款の内容・印鑑登録証明書・委任状の内容を公証役場で事前チェックをしてもらいます。
まずは本店所在地となる都道府県の公証役場を、日本公証人連合会HP-全国公証役場所在地一覧から選んでください。同一都道府県内ならどの公証役場でも構いません。電子定款の対応が可能な★印のある公証役場を選んでください。また一度だけお客様が訪問しなければならないので、行きやすい場所を選んでください。
次に公証役場に「定款の事前チェックを依頼したいのですが…」と電話してください。その際に下記のことをお聞きください。
- 事前チェックをする公証人の氏名
- 公証役場のFAX番号、または、メールアドレス
公証人と公証役場の名前は後で必要になります。必ず控えておいてください。
最後に下記の書類を印刷・スキャナをし、お聞きしたFAX番号またはメールアドレスへ送信してください。
- 定款
- 印鑑登録証明書
- 電子定款作成代理の委任状
1日~2日程度経てば、公証役場から事前チェックが完了した旨の連絡が届きます。待っている間に「18.法務局で株式会社設立登記を申請する。」のステップで必要になる「会社印鑑を発注する」を進めておきましょう。
6.会社印鑑を発注する
会社の印鑑は株式会社設立手続きの後半で必要となるものですが、定款の事前チェックの待ち時間の間に発注しておきましょう。
発注すべき印鑑の種類について
- 代表者印(法人実印)
→ 会社の設立において不可欠。法務局で登録をする印鑑。 - 銀行印
→ 代表者以外の経理担当者等に銀行印を持たせることもあるので、代表者印とは区別するべき。 - 社印(角印)
→ 領収書や請求書に使用し、代表者以外が使用することも多いので代表者印とは区別するべき。
封筒等にわざわざ手書きで書くことが面倒な方は、ゴム印もあれば便利です。
印影の記載内容について
代表者印は、外丸に会社名を入れてお好みで12時の位置に開始点を置きます。内丸には、「代表取締役印」「代表取締役之印」を入れます。
銀行印は、外丸には同様に会社名を入れてお好みで12時の位置に開始点を置きます。内丸には、「銀行之印」を入れます。
角印は、四角枠に縦書きで会社名を入れるのが一般的です。
書体については、篆書体を選ぶ方が最も多くいらっしゃいます。印相体は可読性が低く偽造されにくいもので、古印体は可読性が高く偽造防止性が低いものです。その中間となる書体が篆書体とお考え下さい。
印影の大きさは、代表印が18mm、銀行印が16.5mm、角印が21mmが一般的です。2~3mm程大きいものを選ばれる方もいます。
印鑑の材質は、お好みで選んでください。材質によって値段が大きく異なります。
お近くの印鑑屋さんに依頼してもいいですが、ネットショップがやはり安いです。いくつかネットショップを紹介します。
最後に各印鑑の種類と書体のサンプルを載せますので参考にしてください。
7.公証役場から事前チェックが完了した旨の連絡を受け取る
定款の事前チェックを依頼してから1日~2日程度で完了した旨の連絡が来るはずです。もし連絡が来なければ公証役場へお問い合わせをしてください。事前チェックの完了の旨の連絡が来ましたら、次へ進んでください。
8.当事務所へ電子定款の作成を依頼する
定款の事前チェックが完了しましたら、次は当事務所へ電子定款を依頼してください。当事務所では電子定款の作成代理を一律4,000でさせていただきます。電子定款で定款認証をすることにより会社設立費用4万円が削減になります。詳しくは会社設立費用の比較をお読みください。
ご依頼は下記フォームに必要事項を記載して送信してください。事前チェックを受けた定款Wordファイルを忘れずに添付してください。
送信後24時間以内に、当事務所からご依頼受領の旨を連絡します。連絡がきましたら次へ進んでください。
9.当事務所へ電子定款依頼料4,000円を振り込む
当事務所から、ご依頼受領の旨の連絡が届きましたら下記の口座へ4,000円をお振込みください。振込手数料についてはお客様でのご負担をお願いします。
振り込みが確認できましたら、次の項目からは当事務所のタスクとなっております。当事務所から公証役場へ認証申請し、公証役場が認証を完了させるまで3~5日ほど必要です。
- 銀行名 : ジャパンネット銀行
- 支店名 : ビジネス営業部
- 口座番号 : 普通口座,1179988
- 口座名義人 : 行政書士ロイヤル総合事務所池永武史
- 金額 : ¥4,000
10.定款を電子化し、公証役場へ本認証をかける(当事務所のタスク)
この項目は当事務所のタスクです。もうしばらくお待ちください。
11.当事務所からお客さまへ認証済み定款の受け取りに必要な復代理委任状を送付する(当事務所のタスク)
この項目は当事務所のタスクです。
復代理委任状とは、「公証役場での認証済み定款の受け取り」を「当事務所」から「お客様」へ委任するためのものです。つまり電子定款を作成した者が認証済み定款を受け取るために公証役場に行くことが原則ですが、それを他人に委任することもできます。従って、項目4で発起人から当事務所へ電子定款作成を委任しましたが、さらに本項目で当事務所からお客様へ認証済み定款受け取りを委任するということになります。
復代理委任状は、下記の2通りがあります。お客様が提出する場合は当事務所からの郵送が到着するのをお待ちください。公証役場で電子定款認証が完了するまでに到着するに手配します。
- 当事務所から公証役場へ事前に送付する場合
- お客様が公証役場で認証済み定款を受け取る際に提出する場合
12.認証済み定款の受け取り準備完了の旨をお客さまへ連絡する(当事務所のタスク)
この項目は当事務所のタスクです。
公証役場で電子定款認証が完了すれば当事務所へ連絡が来ます。連絡を受けましたら、遅滞なくお客様へその旨を連絡します。料金振込確認をした日から3~5日程度必要とお考え下さい。
またこの時に、電子署名を押印した電子定款のPDFファイルを送付します。次項の準備物で必要となります。
13.認証済み定款の受け取りの為に必要な物を用意する
公証役場へ認証済み定款を受け取りに行くために、本項目で準備物について解説します。次項の「14.認証済み定款の受け取りの為に公証役場への訪問予約をする。」を先にしておいても構いません。
必要な準備物は下記のとおりです。
- 定款と電子定款作成代理委任状の製本
→ 1部。製本の仕方は後述。 - 現金5万2,000円
→ 定款のページ数と後述する謄本部数により、金額に多少の前後があります。【認証手数料『¥50,000』+電子定款保存手数料『¥300』+謄本代『{(1+定款ページ数)×¥20+¥700}×謄本部数』】 - 発起人の印鑑登録証明書
→ 1枚。発起人が複数いる場合は全員分が必要。 - 復代理委任状
→ 1部。当事務所から公証役場に直接送る場合は不要。 - 認証済み定款を受け取る方の実印・顔写真付き身分証明書
- USBフラッシュメモリ、または、新品のCD-R
→ 1つ。DVD-Rは不可。 - 謄本請求書
→ 1部。必要な場合のみ。詳しくは後述。
謄本とは定款の写しのことです。「同一情報の書面」ともいいます。そして謄本請求書は定款の写しを発行してもらうための申し込み書類です。定款は単なるコピーではなく正式に公証役場で申しまなければ定款の写しとして認められません。
謄本を3部以上必要な場合のみ、謄本請求書を提出してください。提出しなくても2部はもらえます。
必要な部数の考え方ですが、株式会社設立の登記申請用に1部、会社での保存用に1部、そして融資のために銀行へ定款の謄本を提出する場合やその他手続きで公的機関に提出する場合にはそれ以上の部数が必要となります。謄本は会社設立後でも申請することは可能です。
謄本請求書のダウンロードは下記からお願いします。
定款と電子定款作成代理委任状の製本について製本手順は下記のとおりです。下図を見てもらえば簡単にご理解いただけると思います。
- 電子署名を押印した電子定款PDFファイルを印刷。
- 電子定款作成代理委任状を印刷。(復代理委任状ではない。)
- 上から「委任状」「定款」の順でセットし、左長辺の2カ所をホッチキスどめで製本化
- 製本の見開きページ両側を跨ぐ形で全ページに発起人全員の個人の実印を契印。
14.認証済み定款の受け取りの為に公証役場への訪問予約をする。
前項の準備物が用意できましたら、認証済み定款を受け取る為に公証役場に電話をして訪問の予約をしてください。またその際に謄本の部数をお伝えください。
15.公証役場で認証済み定款を受け取る
前項の予約日時がきましたら、公証役場へ訪問して準備物を全て提出してください。かわりに下記を受け取ります。これで定款の認証は完了です。お疲れさまでした。続けて、資本金の払い込み、株式会社設立の登記手続へ進んでください。
- 認証定款のデータが保存されたUSBフラッシュメモリ、または、CD-R
- 謄本2部+追加分
16.資本金の払込みをする
次に、定款に定めた金額の資本金を払い込みます。資本金の払い込み後、2週間以内に株式会社設立の登記申請をしなければいけません。そのことを頭に入れて資本金の払い込みをしてください。(定款認証完了日前ももちろん不可)
資本金の払込み手順は下記のとおりです。その下の図も参考にしてください。
- 発起人の個人口座をご用意ください。
→ 新しい口座ではなくても、プライベートで使用していたもので構いません。
→ 発起人が複数の場合はどなたかのうちの1人の口座を選んでください。
→ 通帳の写しを登記申請時に提出します。通帳がないネットバンクや通帳廃止口座の場合でも認められますが、印刷する箇所は法務局により異なります。 - 用意した口座へ定款に記載した資本金の金額を振り込みます。(預け入れではありません)
→ 下図も参考にしてください。
→ 複数の方のの振り込みは同日でなくてもOKです。但し、各出資者の振り込みが連続するようにしてください。 - 通帳記帳をして、通帳を印刷してください。
→ 印刷箇所は、①通帳の表紙を1枚、②1ページめくって表紙の裏の口座情報が記載しているページを1枚、③資本金の払い込みが記載しているページを1枚、合計3枚
→ 全てA4で印刷します。
→ コピーが終われば、事業用に資本金を使用しても構いません。但し、資本金を借り受けて資本金計上し、コピー後にすぐ返済するような、いわゆる「見せ金」は違法です。
これで資本金の払い込みは完了しました。金額を間違えたり資本金の払い込み期日に問題があれば、一度出金して「1.口座の準備」からやり直してください。
17.株式会社設立登記の必要書類を準備する
いよいよ株式会社設立登記申請の準備に入ります。用意するものが多いですが、全て簡単なのですぐに終わると思います。
必要書類は下表のとおりですが、それぞれ必要な場合とそうではない場合があります。どんな場合に必要かと書類の書き方について解説します。
書類名 | 必要な場合 |
---|---|
a.印鑑登録証明書 | 必須 |
b.定款の謄本 | 必須 |
c.払込証明書と通帳コピーの製本 | 必須 |
d.株式会社設立登記申請書 | 必須 |
e.登記すべき事項 | 必須 |
f.本店所在地決定書 | 定款の本店所在地に番地まで記載していない場合 当サイトの定款サンプルでは必要 |
g.印鑑届書 | 必須 |
h.役員の就任承諾書 | 取締役、代表取締役、監査役に就任する場合 |
i.資本金の額の計上に関する証明書 | 現物出資をする場合 |
j.設立時取締役の調査報告書 | 現物出資をする場合 |
k.財産引継書 | 現物出資をする場合 |
a.印鑑登録証明書
会社設立の登記申請の際にも印鑑登録証明書が必要です。これは「2.印鑑登録証明書を取得する」の項目で準備いただいていると思います。改めて解説しますと、下記のとおりです。
- 取締役会非設置会社:取締役全員の印鑑登録証明書が必要
- 取締役会設置会社 :代表取締役の印鑑登録証明書が必要
b.定款の謄本
これも「15.公証役場で認証済み定款を受け取る」の項目で既に取得しています。
c.払込証明書と通帳コピーの製本
「16.資本金の払込みをする」の項目で、通帳コピーについては既に準備できていると思います。この節では、払込証明書の準備と製本の仕方について解説します。その下の図も参考にしてください。
払込証明書の準備下記から払込証明書をダウンロードして<、記入例に従って作成してください。/p>
払込証明書と通帳コピーの製本- 上から順に「払込証明書」→「通帳表紙」→「通帳表紙裏」→「資本金振込の記載ページ」となるようにセットする。
- 左長辺2カ所をホッチキスどめする。
- 製本の見開きページ両側を跨ぐ形で全ページに代表印を契印。

d.株式会社設立登記申請書
この節で準備する「株式会社設立登記申請書」が登記申請のベースとなる申請様式です。まずは下の株式会社設立登記申請書をダウンロードし、記入例に従って記載してください。
「払込証明書と通帳コピーの製本」と同様に株式会社設立登記申請書も製本にしなければなりません。「払込証明書と通帳コピーの製本」を参考に、全ページ左長辺を2カ所ホッチキスどめをし、見開きページに契印をしてください。また収入印紙貼付台紙に登録免許税の金額分の収入印紙を貼り付けてください。
e.登記すべき事項
登記すべき事項は下記の方法で提出することが出来ますが、オンラインで申請するとなるとオンライン申請用ソフトのインストール・設定などが必要です。CD-R等による提出を推奨します。
- CD-R等の記録媒体にテキスト情報を保存させて提出する。
- オンラインで提出する。
まずは、下記のテキストファイルをダウンロードし、定款どおりに記載してください。リンクを右クリックして「名前を付けてリンク先を保存」を選択すればダウンロードできます。
保存の注意点については、商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出についてをご確認ください。
f.本店所在地決定書
この書類は、定款の記載内容によって要否が変わります。定款の(本店の所在地)に下記の1のように番地まで記載していれば不要で、2のように市区町村までしか記載しない場合に必要となります。
同一市区町村内の移転があっても2の場合は、費用のかかる本店移転登記がいらなくなります。従って、定款には市区町村まで記載し、本節の「本店所在地決定書」を準備することをお勧めします。
- (本店の所在地) 当会社は,本店を 東京都港区赤坂一丁目1番1号 に置く
- (本店の所在地) 当会社は,本店を 東京都港区 に置く
下記からダウンロードし、記入例に従って記入してください。
g.印鑑届書
発注した株式会社の代表印をこの書類によって登録します。
下記からダウンロードし、記入例に従って記入してください。
h.役員の就任承諾書
取締役、代表取締役、監査役毎にこの「就任承諾書」が必要となります。電子定款ではない場合、発起人は定款に押印をするので、就任承諾書は不要ですが、電子定款の場合は必要となります。
なお、この書類には押印をするので、印鑑証明書が必要となります。
就任承諾書下記からダウンロードし、記入例に従って記入してください。
現物出資がない場合は、「18.法務局で株式会社設立登記を申請する」をクリックして、ジャンプしてください。現物出資がある場合はこのまま読み進めてください。
i.資本金の額の計上に関する証明書
この書類は現物出資をする場合のみ必要となります。金銭のみの出資の場合は不要です。
下記からダウンロードし、記入例に従って記入してください。
j.設立時取締役の調査報告書
この書類も同様に現物出資をする場合のみ必要となります。金銭のみの出資の場合は不要です。
下記からダウンロードし、記入例に従って記入してください。
k.財産引継書
この書類も同様に現物出資をする場合のみ必要となります。金銭のみの出資の場合は不要です。
下記からダウンロードし、記入例に従って記入してください。
その他の添付書類
ほかのサイトでは「設立時発行株式に関する発起人の同意書」「設立時取締役選任決議書」「設立時代表取締役選定決議書」「設立時監査役選任決議書」等が解説されておりますが、これらについては定款に書いていれば不要です。当サイトの定款サンプルには記載済みですので、解説は割愛します。
これで株式会社の登記書類の準備は完了です。「18.法務局で株式会社設立登記を申請する」に進んでください。
18.法務局で株式会社設立登記を申請する
いよいよ設立登記の申請です。
申請の方法は下記の通り3つあります。
- 法務局へ持参する方法
- 法務局へ郵送する方法
- オンラインで申請する方法
オンラインの場合はソフトのインストール・環境設定・会員登録等が必要で煩雑になるので本記事では推奨していません。
申請後、特に補正がなければ約10日で登記が完了します。
最後に注意点として申請をする日付について解説します。
株式会社の設立日は、法務局へ持参して申請書を提出した場合は、申請書を提出した日」となります。郵送の場合は法務局へ到着し、職員が受付を開始した日となります。株式会社設立日を特定の日付にしたい場合は直接法務局へ足を運ぶことをお勧めします。
そしてその日付について、きりの良い〇月1日にする方も多いですが、設立日が1日よりも2日の方が法人住民税均等割が約6000円安くなります。なぜなら法人住民税均等割はその月の1日時点で設立している会社にかかってくるものだからです。株式会社設立日が2日なら翌月から賦課されることになり、1か月分の約6000円が安くなります。従って、月末辺りに設立するのであれば、翌月の2日に引き伸ばした方がお得です。