会社設立費用の比較
会社の設立においては、定款や登記などの様々手続きを踏まなければなりません。そしてその各手続きにおいて法律で定められた法定費用が必要となります。
また自分で手続きをする場合には法定費用だけで済みますが、専門家へ依頼するとなればその依頼費用が追加で必要となります、
会社設立の方法はまず次の6つに分けることができます。
- 自分で定款も登記もする。(定款は紙定款)
- 自分で定款も登記もする。(定款は電子定款)
- 定款は専門家へ依頼し、登記は自分でする。
(定款は電子定款。紙定款を扱う専門家はほとんどいない。) - 定款は自分でし、登記は専門家へ依頼する。
- 定款も登記も専門家へ全て依頼する。(専門家は司法書士や行政書士など)
- 定款も登記も専門家へ全て依頼する。(専門家は税理士)
上記のいずれかを選択するかによって、会社設立にかかる費用と労力に違いが出てきます。
このうち、4の「定款は自分でし、登記は専門家へ依頼する。」という方法は、ほとんど選択されません。なぜなら、定款よりも登記の方が簡単であるにも関わらず、簡単な登記だけを専門家に依頼するということになるので合理的ではないからです。従って、4についてはこれ以上解説しません。
また1も、実はメリットがありません。しかしながら最もオーソドックスな方法であり、かつ、他の良い方手段を知らない方が良く選択してしまうので、詳細を解説します。
まず4を除く、1~6について必要な費用を一覧表にしてまとめます。
1 全て自力 (紙定款) |
2 全て自力 (電子定款) |
3 電子定款 のみ依頼 登記は自力 |
5 行政書士 司法書士 へ 全て依頼 |
6 税理士へ 全て依頼 |
|
---|---|---|---|---|---|
合計 | 24万2千円 | 22万2千円 | 20万5千円 | 25万2千円 | 20万2千円 + 月1万円 |
定款 印紙代 |
4万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
電子定款の 設備費用 |
0円 | ~2万円 ※1 |
0円 | 0円 | 0円 | 専門家への 依頼費用 |
0円 | 0円 | 4千円 ※2 |
5万円 | 顧問料月額 1万円 |
その他の 共通費用 |
定款認証手数料:5万2千円,登記登録免許税:15万円 会社印鑑費用:4千円程度~(材質によりピンキリ) 印鑑証明書取得費用+登記事項証明取得費用:千円程度 |
※1 既に設備が整っている場合は安く済みます。 ※2 当事務所の場合は4千円、一般的には5千円程度が相場です。 |
このように会社設立にかかる費用は、約20万円~25万円が必要となります。これは資本金2,100万円以下の株式会社の場合です。合同会社・合資会社・合名会社の場合は定款認証手数料:5万2千円が不要で,登記登録免許税:が6万円となるので、合計約6万円~11万円程度となります。(紙定款の場合の収入印紙税は必要、理由は後述)
上の費用一覧表を見てわかるとおり、専門家へすべて依頼すると費用が膨れます。税理士事務所の場合は、会社設立後の税務顧問込みという形をとっているところがほとんどなので、初期費用としてはゼロ円だけれども月額費用として費用が膨れます。会社設立の労力を抑えたいという方や、会社設立後の税務顧問もお願いするつもりだという方は、これらの方法を選択するのがいいでしょう。
しかし当サイトでは、労力よりも費用を抑えたいという方を対象としておりますので、残りの1~3について詳しく解説します。
まず当サイトを読んでいる方に一番ご理解していただきたいことは、「紙定款ではなく電子定款を利用すれば定款の認証に必要な4万円が削減できる」ということです。
法的根拠については印紙税法・IT書面一括法・憲法84条などで説明できるのですが、簡単に言うと、「電子化された定款は印紙税法に定められた文書とみなされない。さらに憲法の租税法律主義に基づき、法で定められない課税は認められない。」ということです。
また株式会社・相互会社の場合は定款の認証が必須なので紙定款の印紙代を払うことから逃れられないですが、合名会社・合資会社・合同会社の場合は定款の認証が不要なので、紙定款の収入印紙代を支払わない方もいらっしゃいます。しかし、これは立派な脱税に値するもので、やはり収入印紙が必要です。
従って株式会社でも合同会社でも、会社を設立する場合は、電子定款を利用することを強く推奨させてください。
そうすると費用一覧表の1「自分で定款も登記もする。(定款は紙定款)」という方法は、候補から外れますね。残るは2「自分で定款も登記もする。(定款は電子定款)」と3「電子定款は専門家へ依頼し、登記は自分でする。」の2択となります。
結論から言うと、3「電子定款は専門家へ依頼し、登記は自分でする。」を推奨します。なぜなら、当事務所の場合ですが、電子定款を依頼した場合の費用は4千円、労力はメールで依頼するだけですが、2の場合は電子定款の準備に必要な労力が大きく、また費用も場合によっては高くなります。
自分で電子定款をする場合の費用と労力について、もう少し詳しく解説します。
電子定款を自分でするための準備物
まずゼロから電子定款を利用できるようになるためには下表の準備物が必要になります。
必要な物 | 費用 |
---|---|
1 Adobe Acrobat Standard DC ※1 | 年間16,560円 |
2 ICカードリーダー | 約3,000円 |
3 電子証明書付きマイナンバー ※2 | 0円 |
※1 無料の Adobe Acrobat Reader は使用できません。 ※2 電子証明書取得済みの住民基本台帳カードでもよいですが、この場合は1000円が追加で必要です。 |
この表を見るとわかるとおり、最初の1年間だけでも20,000円が必要となります。この時点で3「電子定款は専門家へ依頼し、登記は自分でする。」の方がメリットがあります。しかし、「もう既に全部持っているよ」という方の場合は依頼せずに自分でしてもいいかもしれません。しかし労力のことも考えてみましょう。ゼロから電子定款を利用できるようになるまでに必要な準備は下記のとおりです。
- 上記準備物の購入
- 電子署名用の印影の作成
- PDF署名プラグインソフトのインストール
- Acrobat Standard DC の電子署名に関する環境設定
- 登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフトのインストール
- JPKI利用者クライアントソフトのインストール
- JPKI利用者クライアントソフトの環境設定
- 申請用総合ソフトで電子定款申請手続き
このように自分でゼロから電子定款をするとなると非常に労力が必要となります。私自身も初めてしたときは、結構時間がかかりました。上手くいかなかったりして関係各所に問い合わせながら丸一日はかかった記憶があります。
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