会社法第16条

参考条文

(通知義務)
第十六条  代理商(会社のためにその平常の事業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その会社の使用人でないものをいう。以下この節において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、会社に対して、その旨の通知を発しなければならない。

解説

代理商とは、取引の代理・媒介をするものであり、保険会社んの代理店を想像していただければわかりやすいと思います。

その代理商は、取引の代理・媒介をしたときには遅滞なく会社に通知しなければなりません。

会社法第17条

参考条文

(代理商の競業の禁止)
第十七条  代理商は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一  自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
二  会社の事業と同種の事業を行う他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2  代理商が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって代理商又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。

解説

代理商も支配人と同じく会社の許可なく競業してはいけません。競業禁止とは、会社と事業の競争関係にあってはならないという意味です。

代理商は会社のために取引を代理・媒介する者です。従って代理商は会社の利益のために従事する必要があり、会社の不利益になり得ることを独断で行うことができません。

1号では、会社の損害の有無にかかわらず、自分・第三者の利益のために取引をすることに制限を与えています。2号は、取締役・執行役・業務執行社員になることを制限しています。

そして、会社の許可なく各号に違反すれば代理商の解任事由にあたります。さらに1号の自己・他人の利益のために会社の事業に関する取引をした場合は、それらの者が受けた利益が会社の損害と推定し、会社は請求できます。わざわざ会社の損害の大きさを立証する必要がないということです。

会社法第18条

参考条文

(通知を受ける権限)
第十八条  物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、商法 (明治三十二年法律第四十八号)第五百二十六条第二項 の通知その他の売買に関する通知を受ける権限を有する。

(買主による目的物の検査及び通知)
第五百二十六条  商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2  前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
3  前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。

解説

商法526条は、①:買主は購入物の受領後にすぐに検査しなければならず、購入物の瑕疵や数量不足に気付いた時はすぐに売主に通知しなければ賠償請求等ができない。②:発見が困難な瑕疵や数量不足であっても6カ月経ってしまえば売主に賠償請求できない。③:売主が元々瑕疵や数量不足を知っていれば、①②ルールの適用はなく買主は賠償請求ができる。という規定です。

そして、代理商も同様にこの通知を受ける権限を有していますので、買主がすぐ検査しなかったり、通知しなかったりすると賠償請求を免れる規定となります。

会社法第19条

参考条文

(契約の解除)
第十九条  会社及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、二箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。
2  前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、会社及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。

解説

会社と代理商との契約の解除についての記述です。

会社と代理商の関係は委任関係です。従って民法653条の委任の一般終了事由(死亡や破産等)が適用されます。

それに加えて本条により、①:2カ月前に予告すれば解除できる。②:やむを得ない場合はいつでも解除できる。ということを規定しています。

会社法第20条

参考条文

(代理商の留置権)
第二十条  代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、会社のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。

解説

留置とは、相手の債務が滞っている場合に、物を置き留めておくことを意味します。

つまり代理商と取引した買主が支払いを滞っている場合に、引き渡し物等を留置し、支払い完了まで引き渡しを拒絶できます。

会社法第21条

参考条文

(譲渡会社の競業の禁止)
第二十一条  事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。
2  譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
3  前二項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。

解説

事業譲渡をした会社の競業避止義務について記述しています。

事業を第三者に譲渡した会社は、同一市町村内及び隣接市町村において、事業譲渡日から20年間はその事業を行ってはなりません。この期間は事業譲渡契約の特約により30年まで延長できます。不正な競争目的がある場合は無期限で競業避止義務を負います。

会社法第22条

参考条文

(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)
第二十二条  事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
2  前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
3  譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
4  第一項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

解説

事業を譲り受けた会社が譲渡会社の商号を使用する場合の責任関係について記述しています。

①:譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合、譲受会社は譲渡会社の債務弁済責任を原則負います。②:ただし、譲渡が完了した後に遅滞なく責任を負わない旨の登記をすれば①のルールは適用されません。③:また、登記しなくとも責任を負わない旨を第三者に通知した場合は、当該第三者に対してのみ譲受会社に責任は発生しません。④:そして譲受会社が負った譲渡会社の責任は2年間経過すれば消滅します。

また、⑤:もともと譲渡会社に債務を負っていた第三者が、譲渡会社の商号を使う譲受会社に対して弁済してしまった場合、当該第三者が善意・重過失がないなら、当該弁済は有効となります。

会社法第23条

参考条文

(譲受会社による債務の引受け)
第二十三条  譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者は、その譲受会社に対して弁済の請求をすることができる。
2  譲受会社が前項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、同項の広告があった日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

解説

22条とは異なり、商号を引き継がない場合における責任について記述しています。

譲受会社が商号を引き継がない場合でも、①:「債務を引き受ける」と広告すれば、もともとの債権者は譲受会社に対して請求ができます。そして、②:公告の日から2年経過すれば請求権は消滅します。

会社法第23条の2

参考条文

(詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求)
第二十三条の二  譲渡会社が譲受会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って事業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、その譲受会社が事業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2  譲受会社が前項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、譲渡会社が残存債権者を害することを知って事業を譲渡したことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。事業の譲渡の効力が生じた日から二十年を経過したときも、同様とする。
3  譲渡会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、譲受会社に対して第一項の規定による請求をする権利を行使することができない。

解説

譲渡会社から譲受会社に事業譲渡があったが債務が継承されない場合で、その譲渡が債権者を害すると知っていて行われていた場合、①:債権者は譲渡があった財産の価格を上限に、譲受会社に対して請求できます。

そして②:譲受会社の債務の履行責任は、債権者を害する事業譲渡があったことを知った日から2年間以内に請求や請求の予告がなければ消滅します。③:債権者を害する事業譲渡であることを知らない場合でも20年経てば消滅します。④:譲渡会社が破産・再生・更生手続開始の決定があっても同様に譲受会社の履行責任も消滅します。

会社法第24条

参考条文

(商人との間での事業の譲渡又は譲受け)
第二十四条  会社が商人に対してその事業を譲渡した場合には、当該会社を商法第十六条第一項 に規定する譲渡人とみなして、同法第十七条 から第十八条の二 までの規定を適用する。この場合において、同条第三項 中「又は再生手続開始の決定」とあるのは、「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とする。
2  会社が商人の営業を譲り受けた場合には、当該商人を譲渡会社とみなして、前三条の規定を適用する。この場合において、前条第三項中「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とあるのは、「又は再生手続開始の決定」とする。

解説

会社が商人に対して事業を譲渡した場合に商法17条、18条、18条の2が適用されます。また会社が商人から営業を譲り受けた場合には、
会社法22条、23条、23条の2が適用されます。

商法17条~18条の2の考え方は、ほとんど会社法22条~23条の2と同じです。

会社法第25条

参考条文

第二十五条  株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
一  次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
二  次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
2  各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

解説

株式会社の設立方法について記述しています。

①:発起人が設立時発行株式の全てを引き受ける方法を発起設立といいます。②:発起人以外に設立時発行株式を引き受ける者を募集して設立する方法を募集設立と言います。

なお、発起人となる者は最低でも1株は設立時発行株式を引き受けなければなりません。

会社法第26条

参考条文

(定款の作成)
第二十六条  株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2  前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

解説

会社を設立するためには、必ず定款を作成しなければなりません。その定款には発起人全員の署名、または記名押印をしなければなりません。

また定款は電磁的記録によっても作成できます。これを電子定款といいます。電子定款の記録情報は電子署名が必要です。

会社法第27条

参考条文

(定款の記載又は記録事項)
第二十七条  株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一  目的
二  商号
三  本店の所在地
四  設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五  発起人の氏名又は名称及び住所

解説

定款に記載しなければならない事項について記述しています。絶対的記載事項といいます。定款には「目的」「商号」「本展の所在地」「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」「発起人の氏名又は名称及び住所」を必ず記載しなければなりません。

これらの事項が記載されていなければ定款自体が無効です。定款認証もされず会社設立ができません。

なお、「発行可能株式総数」も絶対的記載事項ですが、これは一番最初の原子定款の時点では記載していなくとも定款認証は受けることができます。しかし設立登記申請時までには記載しなければなりません。

会社法第28条

参考条文

第二十八条  株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一  金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
二  株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三  株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四  株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

解説

これは相対的設立事項の中の変態設立事項についての記述です。相対的記載事項は定款にしなくとも定款自体は無効ではありません。しかし相対的記載事項に関することを決定したとしても、定款に記載しなければ、その決定事項は効力を持ちません。そして相対的記載事項の中でも特に変態設立事項は発起人等の権限の濫用により会社に不利益を及ぼすリスクがあるものであり、次の条に記載する相対的記載事項の条文とは別条となっています。

変態設立事項は、①:現物出資者の氏名・財産・価格・割当株数、②:財産引受者の引受財産・価格・氏名、③:発起人の設立に当たっての報酬額・特別利益・氏名、④:設立に当たって負担した費用です。これらは、決定すれば必ず定款に記載しましょう

また会社法第33条にこれらの変態設立事項について「検査役」により検査をうける義務を規定しています。

会社法第29条

参考条文

第二十九条  第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。

解説

この条文は相対的記載事項と任意的記載事項について記述しています。

前条のとおり、相対的記載事項とは定款にしなくとも定款自体は無効ではありませんが、相対的記載事項に関することを決定したとしても、定款に記載しなければ決定事項は効力を持たないものです。本条文の「この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項・・・を記載し、又は記録することができる」の部分が相対的記載事項に関する記述です。

また任意的記載事項は、決定事項を定款に記載すれば効力を持つという部分は相対的記載事項と同じですが、任意的記載事項の場合は定款ではなくとも諸規定等に書いても効力を持ちます。定款に記載すれば厳重となるメリットがあり、逆に改訂が簡単ではなくなるデメリットがあります。本条文の「その他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる」の部分が任意的記載事項に関する記述です。

会社法第30条

参考条文

(定款の認証)
第三十条  第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
2  前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第三十三条第七項若しくは第九項又は第三十七条第一項若しくは第二項の規定による場合を除き、これを変更することができない。

解説

①:定款は公証人の認証を受けて初めて効力を持つということを規定しています。そして②:認証を受けた定款は会社成立前は原則は変更できません。ただし③:変態設立事項の検査により裁判所が不当と認めた場合(33条)、発行可能株式総数に関する定め(37条)、については定款の変更が可能です。