会社法第1条

参考条文

(趣旨)

第一条  会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

解説

1条は会社法の趣旨について記述しています。

会社法の趣旨

まず第一に会社法は、「会社の設立」「会社の組織」「会社の運営」「会社の管理」について定めたものです。

そして「他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。」とあるように、会社法は一般法であり、ほかの法律(独占禁止法など)定めがあればそちらを優先します。

会社法第2条

参考条文

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。
二  外国会社 外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいう。
三  子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
三の二  子会社等 次のいずれかに該当する者をいう。
イ 子会社
ロ 会社以外の者がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの
四  親会社 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
四の二  親会社等 次のいずれかに該当する者をいう。
イ 親会社
ロ 株式会社の経営を支配している者(法人であるものを除く。)として法務省令で定めるもの
五  公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
六  大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。
ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。
七  取締役会設置会社 取締役会を置く株式会社又はこの法律の規定により取締役会を置かなければならない株式会社をいう。
八  会計参与設置会社 会計参与を置く株式会社をいう。
九  監査役設置会社 監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。
十  監査役会設置会社 監査役会を置く株式会社又はこの法律の規定により監査役会を置かなければならない株式会社をいう。
十一  会計監査人設置会社 会計監査人を置く株式会社又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社をいう。
十一の二  監査等委員会設置会社 監査等委員会を置く株式会社をいう。
十二  指名委員会等設置会社 指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「指名委員会等」という。)を置く株式会社をいう。
十三  種類株式発行会社 剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。
十四  種類株主総会 種類株主(種類株式発行会社におけるある種類の株式の株主をいう。以下同じ。)の総会をいう。
十五  社外取締役 株式会社の取締役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。
イ 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
ホ 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
十六  社外監査役 株式会社の監査役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。
イ その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。ロにおいて同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の監査役であったことがある者にあっては、当該監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役、監査役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
ホ 当該株式会社の取締役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
十七  譲渡制限株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
十八  取得請求権付株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主が当該株式会社に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
十九  取得条項付株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
二十  単元株式数 株式会社がその発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨の定款の定めを設けている場合における当該一定の数をいう。
二十一  新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。
二十二  新株予約権付社債 新株予約権を付した社債をいう。
二十三  社債 この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第六百七十六条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。
二十四  最終事業年度 各事業年度に係る第四百三十五条第二項に規定する計算書類につき第四百三十八条第二項の承認(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認)を受けた場合における当該各事業年度のうち最も遅いものをいう。
二十五  配当財産 株式会社が剰余金の配当をする場合における配当する財産をいう。
二十六  組織変更 次のイ又はロに掲げる会社がその組織を変更することにより当該イ又はロに定める会社となることをいう。
イ 株式会社 合名会社、合資会社又は合同会社
ロ 合名会社、合資会社又は合同会社 株式会社
二十七  吸収合併 会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。
二十八  新設合併 二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。
二十九  吸収分割 株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう。
三十  新設分割 一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう。
三十一  株式交換 株式会社がその発行済株式(株式会社が発行している株式をいう。以下同じ。)の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいう。
三十二  株式移転 一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいう。
三十三  公告方法 会社(外国会社を含む。)が公告(この法律又は他の法律の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないものとされているものを除く。)をする方法をいう。
三十四  電子公告 公告方法のうち、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって法務省令で定めるものをとる方法をいう。

解説

2条は会社法の中で使われる用語の定義について記述しています。

用語が出たときに参照する辞書のようなものなので、ここでは解説はしません。

会社法第3条

参考条文

(法人格)
第三条  会社は、法人とする。

解説

3条は「会社は法人である」ということを単に記述しています。

法人とは

「法人」とは、人(自然人)と同じく、権利や義務の主体となることができる会社という意味です。

法律に則った手続きである「設立登記」をすれば、会社が成立します。そうして成立した会社は全て法人であり、権利義務の主体となることができます。

なお会社は2条の用語の定義によると、「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」の4つです。

会社法第4条

参考条文

(住所)
第四条  会社の住所は、その本店の所在地にあるものとする。

解説

4条は法人格を有する会社の身元となる住所はどこかということについて記述しています。

会社の住所は、「会社の本店の所在地」となります。本店の所在地は登記されるものです。

会社法第5条

参考条文

(商行為)
第五条  会社(外国会社を含む。次条第一項、第八条及び第九条において同じ。)がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。

解説

会社(株式、合同、合資、合名、外国会社)が事業として行なう行為・事業のためにする行為は全て商行為とみなされます

会社法第6条

参考条文

(商号)
第六条  会社は、その名称を商号とする。
2  会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
3  会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

解説

この条文は会社の商号について記述しています。

商号の制限

会社は、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」のように4つの種類があります。

会社の商号(名前)には、必ずその会社の種類に合致したものを入れなければなりません。例えば株式会社なら、商号は「株式会社●●●●」「●●●●株式会社」としなければならず、「合同会社」や「合名会社」の文字は入れてはいけません。

また、商業登記規則等で文字数や使用文字の規制もあるので注意は必要です。

会社法第7条

参考条文

(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)
第七条  会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

解説

会社ではない者、つまり法律に則って登記手続きをしていない者は商号に「株式会社」や「合同会社」の文字は入れてはいけません。

この「この会社でない者」とは、いわゆる個人事業者などが該当します。

会社法第8条

参考条文

第八条  何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2  前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

解説

不正の目的を持って、誤認されるような商号は使用してはいけません。

そして、商号の不正使用によって損害のおそれがある会社は、類似商号の使用の差し止め請求をすることができます。

この誤認されるような商号とは、同一住所で類似商号の会社がある場合を意味しますので、ほとんど引っかからないものです。

問題になるのは同一ビル内に類似商号の会社があり、さらに部屋番号までは登記していない場合です。このような場合には同一住所に類似商号があることになってしまい、制限されます。

会社法第9条

参考条文

(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)
第九条  自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

解説

これはいわゆる「名板(ないた)貸し」に関する記述です。名板貸しとは自己の商号を他人に貸して事業を営むことを許諾することです。

株式会社AAAから株式会社BBBに商号を貸した場合、株式会社BBBは株式会社AAAという商号を看板に事業を営むことができます。

そして、株式会社BBBが第三者Cと取引したとします。その際にCは株式会社AAAとの契約だと誤認したとします。その場合株式会社BBBは契約上の責任を負うのは当然ですが、株式会社AAAも連帯して責任を負わなければなりません。従って、株式会社BBBが破産などをして責任を負えなくなった場合は、株式会社AAAが単独で責任を負わなければならなくなります。

もちろんCが契約相手を株式会社BBBであると知っていた場合は、株式会社AAAは責任を負う必要はありません。

過去に争われた判例

  • (最判昭41.1.27)「誤認」が過失なら名義貸与者は責任を免れない。重大な過失なら名義貸与者は責任を免れる。
  • (最判昭43.6.13)名義貸与者が責任を負うためには、名義借受者と名義許諾者の営業が同種の営業であることが必要。

つまり、Cが知らなかったと主張しても、取引の中で通常なら知るだろう事柄があれば重過失とみなされ株式会社AAAは責任を負わなくてもよいということになります。さらに同種の営業でなければ、その誤認は重大な過失に相当するものと考えられています。

責任の範囲

名義貸与者が負う責任の範囲は、名義借受者と第三者の取引によって生じた部分についてのみ責任を負います。取引の中で債務の弁済の他にも損害賠償や原状回復義務等が契約で決められていれば、それらも当然に責任の範囲です。

会社法第10条

参考条文

(支配人)
第十条  会社(外国会社を含む。以下この編において同じ。)は、支配人を選任し、その本店又は支店において、その事業を行わせることができる。

解説

会社(株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、外国会社)は、支配人を選任してその会社の本店や支店にて事業を行わせることができます。

支配人とは

皆さんがイメージされる支配人は、「ホテルの支配人」や「レストランの支配人」というイメージを持つかもしれませんが、「会社法上の支配人」は違う意味を持ちます。

「会社法上の支配人」とは、役職は関係なく、包括的、かつ、制限なしの代理権を会社から与えられている商業使用人を指します。支配人を選任したときは「支配人の登記」をしなければなりません。

但し、競業禁止規定(13条)などもあるのでご確認ください。

代表取締役と支配人の違い

代表取締役と支配人の違いってなんだ? と思う方も多いです。

支配人は使用人のうちの1つであり、会社との関係は雇用関係となります。従って、支配人の定義からいえば広範な権限を有しているように思えますが、あくまでも会社の指揮命令下において会社を代理する業務従事者といえます。実際、支配人となるのは支店長や支社長、部長のような肩書を有することが多いです。

一方、代表取締役は会社に雇われているわけではなく委任契約によって成立します。会社の指揮命令下に入る支配人とは違い、会社そのものを代表する人が代表取締役です。

会社法第11条

参考条文

(支配人の代理権)
第十一条  支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2  支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3  支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

解説

支配人が有する代理権の範囲について記述しています。

支配人は、会社の代理として、事業に関する全ての「裁判上」「裁判外」の行為ができます。

裁判上の行為とは、支配人が会社の訴訟代理人となって訴訟行為を行うことや、別の訴訟代理人(弁護士)の選任も出来ます。

また、裁判外の行為として、事業に関してほかの使用人を選任、解任もできます。

そして、支配人の代理兼に加えた制限は善意の第三者に対抗できない。つまり支配人の選任時に一部の代理権を制限した場合に、当該支配人が権限外の行為をしてしまったとします。その相手方となる第三者が当該支配人にそんな権限がないと知らなかった場合、支配人は「権限が本当はなかったから無効」と主張できないことになります。もちろん会社も使用者責任としての責任を負います。

会社法第12条

参考条文

(支配人の競業の禁止)
第十二条  支配人は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一  自ら営業を行うこと。
二  自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
三  他の会社又は商人(会社を除く。第二十四条において同じ。)の使用人となること。
四  他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2  支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。

解説

支配人の競業禁止について記述しています。競業禁止とは、会社と事業の競争関係にあってはならないという意味です。

支配人は会社の指揮命令下に入り会社を代理する使用人です。従って、支配人は会社の利益のために従事する必要があり、会社の不利益になり得ることを独断で行うことができません。

1号は、どんな事業でも支配人が自ら営業を営む場合には会社の許可が必要となります。2号では、会社の損害の有無にかかわらず、自分・第三者の利益のために取引をすることに制限を与えています。3~4号は、ほかの会社の使用人・取締役・執行役・業務執行社員になることを制限しています。

そして、会社の許可なく各号に違反すれば支配人の解任事由にあたります。さらに2号の自己・他人の利益のために会社の事業に関する取引をした場合は、それらの者が受けた利益が会社の損害と推定し、会社は請求できます。わざわざ会社の損害の大きさを立証する必要がないということです。

会社法第13条

参考条文

(表見支配人)
第十三条  会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

解説

「表見」とは、一見そう見えるということです。つまり「支配人」「マネージャー」「支店長」という名称がついているような者は、一見支配人に見えます。そして本当は支配人ではなくとも、表見代理人は一切の裁判外の行為をする権限を有するとみなされ、勘違いした相手に対して「本当は権限がなかった」という主張は通用しないことになります。

会社法第14条

参考条文

(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)
第十四条  事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。
2  前項に規定する使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

解説

前条までの支配人は「包括的な」「制限のない」「裁判内外」の権限を有する使用人ですが、この条での使用人は「特定の部分」について「裁判外のみ」の権限を有する使用人です。

また第三者が制限された権限を有する使用人と取引をした場合で、第三者が何も知らなかった場合、当該使用人は「本当は権限がなかった」という主張はできません。

会社法第15条

参考条文

(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)
第十五条  物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

解説

店舗の使用人(店員、販売員など)は販売権限を有するものとみなされ、お客さんも安心して購入できます。たとえ、清掃員で販売権限がなかったとしても、お客さんがその清掃員に買いたいと申し、当該清掃員が了承すれば取引は成立です。お客さんが清掃員であることを知っていれば不成立ですが。